研究概要 |
EGFRは様々な悪性腫瘍においてその発現が亢進し,細胞内シグナル伝達を介して腫瘍の進展に寄与することが知られている.近年EGFRを標的とした治療法の開発が進められてきたが,頭頸部癌ではEGFRを標的とする薬剤の治療効果が十分でないことが報告され,治療成績向上のために頭頸部癌におけるEGFRによる腫瘍進展機序や関連因子の検討が必要とされた.これまでにEGFRの変異体であるEGFRvIIIによる腫瘍形成能の亢進が報告されたが,本研究ではEGFRにより発現が亢進し,腫瘍の浸潤・転移に重要な働きを持つMMPと,このMMPの発現誘導因子であるEMMPRIN/CD147に着目した.まず複数の頭頸部癌細胞株におけるEMMPRINの発現をウェスタンブロット法にて検出.いずれの細胞株においてもEMMPRINが発現していることを確認した.この頭頸部癌細胞にEMMPRINの刺激因子であるCyclophilin Aを作用させ,その腫瘍形成に関連した諸現象を観察した.この結果,この結果,Cyclophilin Aにより頭頸部癌細胞の増殖およびMMP-9の産生が亢進することが明らかとなった.
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