研究概要 |
内容 平成21年度は頭頸部癌患者11名の頸部郭清外科手術例に対して数十個の頸部脂肪組織を採取しホルマリン固定→パラフィン包埋ブロック作成→各種免疫染色→標本作製を行った。肉眼的にリンパ節と確認できる約2mm径以上リンパ節をすべて抽出する。残つた脂肪組織を固定後に細切して脂肪の間隙にリンパ球をはじめとした浸潤細胞さらに癌細胞の有無をHE染色および以下の免疫染色により検討する。血管増生因子の仲間でリンパ管増殖因子であるVEGF-C,VEGF-D,そしてそのレセプターであるVEGFR3、また正常のリンパ管同定にもちいられているD2-40について検討する。 意義 現在、癌のリンパ節転移に関するメカニズムについてはあまり検討されていない。原発部位からどのように癌細胞が移動するのかを確認するためには原発巣、リンパ節転移巣を連絡する脂肪組織に代表される組織を検索する必要があるが、これまでの研究は原発巣を見たものがほとんどであり、リンパ節での検討も少ない。Primitiveな検討ではこれまで注目されていないリンパ球様細胞集簇が脂肪細胞の間に認められている。これらの細胞についての働きを確認していく。 重要性 現在、免疫染色の前段階でのH-E染色にて脂肪組織に中にリンパ球様集簇が確認されている。これらは、放射線治療を施行した症例には非常に少ないことが確認されている。一般的にも、当科で経験した症例でも放射線既治療例ではリンパ節転移が起こりにくいことがわかっている。よって、これらの細胞を検討することにより転移に関する何らかの要因が解明される可能性があると思われる。
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