研究課題
においの末梢受容器である嗅上皮は嗅神経が再生を繰り返しその恒常性を保っているユニークな組織としてしられている。その再生は生涯持続するとされているが、その恒常性が生涯同じように保たれるわけではない。嗅覚に影響を与える因子の一つに加齢変化があるが、加齢変化が嗅上皮の傷害因子に対する反応性や傷害後の再生能に与える影響についてその詳細なメカニズムは明らかでなく、その治療法も開発されていない。今回我々は、この加齢性嗅覚障害における分子生物学的メカニズム解明および、それに基づいた加齢性嗅覚障害の治療法開発を行うべき研究を行っている。(1)カロリー制限の上皮傷害に対する影響の検討。化学的傷害を与えた場合、カロリー制限による酸価ストレスのコントロールが、傷害の程度にどのように影響するか検討した。カロリー制限群(6か月)およびコントロール群を用い、嗅上皮傷害物質メチマゾールを投与し、その鼻粘膜組織切片を作成した。検討中である。メチマゾールは用量依存性に嗅上皮を破壊するため、40mg/KgBWの低用量で処理し、それに伴う傷害の程度をコントロール群と比較したが、組織学的に両群に差は見られなかった。(2)カロリー制限(70%)8カ月後(11カ月齢)のマウスの嗅覚行動実験を行い、同年齢のコントロールマウスと比較した。嗅覚行動実験上、両群に明らかな差は見られなかった。(3)カロリー制限マウスを11月齢(制限後8カ月)の時点で断頭、組織採取を行った。体重はおおよそコントロール群の70%で、有意差をもって低下していた。現在組織切片作成中で、23年度にこの解析を行う。
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J Comp Neurol.
巻: (In press)(掲載確定)
巻: 518 ページ: 1962-75