研究課題
耳鳴の複合音によるマスキングの中枢における効果を、脳磁場の周波数解析により検討する課題において、下記の成果を得た。(1) 脳磁場のスペクトラム解析および空間フィルター使用環境の確立聴覚刺激により生じた脳磁場の解析環境を確立した。従来から使用していた環境では、MATLABのバージョンが古く充分なメモリを使用できなかったため、負荷が大きく計測した脳磁場データを解析できなかった。そのため、解析環境をHP-UNIXからLinuxに変更、MATLABも更新、解析ソフトもあらたに開発することにより、スペクトラム解析および空間フィルターを使用できる環境を確立した。(2) 耳鳴マスキング複合音の作成耳鳴患者のマスキングに使用する複合音を作成した。作成した複合音は、白色雑音、白色雑音を正弦波で振幅変調した音(SAM音)、両耳間で位相が180度異なる雑音を作成した。これらの音は、聴性脳磁場反応に影響をきたさないことを確認した。(3) スペクトラム解析および空間フィルターによる解析健聴者における聴性誘発磁場に対して、スペクトラム解析および空間フィルターによる解析を行った。スペクトラム解析では、音刺激後約100ミリ秒でアルファ帯域に事象関連同期(ERS : event related synchronization)を、約200ミリ秒でベータ帯域に事象関連脱同期(ERD : event related de-synchronization)をみとめた。これらの結果を、空間フィルターを使用してMRI上に投影すると、いずれの反応も聴覚野周囲に投影された。
すべて 2009
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Int Adv Otol. 5
ページ: 404-407
Clin Neurophysiol 120
ページ: 1923-1926