1)CMV感染の臨床検査 平成23年度、先天性難聴13名の乾燥臍帯中のCMVのDNAの検出をreal-time(Nested)PCRで定量的に行った。結果は1名でCMVのDNAが検出された。この1名は精密聴力検査の結果、難聴は認めなかったが、今後定期的に聴力検査を行い難聴が生じてくるか経過を観察する予定である。 また人工内耳手術を行った4名に対して蝸牛開窓時にリンパ液を採取し臍帯と同様にCMVのDNAの検出をreal-time(Nested)PCRで定量的に行った。結果はCMVのDNAは検出されなかった。 2)治療および療育と聴覚・言語発達の評価 人工内耳の装用効果について、GJB2遺伝子異常による聴覚障害にて手術を受けた患児と術後の聴覚言語発達を比較した。内訳は先天性CMV感染5例、GJB2遺伝子異常7例。先天性CMV感染による聴覚障害に対する人工内耳手術後の聴覚言語発達は他の原因にて手術を受けた患児とほぼ同様であることがわかった。聴覚言語発達への影響は合併する精神発達遅滞が大きい結果であった。先天性CMV感染症は人工内耳手術の適応であることが示された。 この成果はCOSM (The Combined Otolaryngology Spring Meetings)におけるTriological Sceietyと第21回日本耳科学会で報告した。 またActa Oto-Laryngologicaに論文を投稿し"Outcome of cochlear implantation in children with congenital cytomegalovirus infection or GJB2 mutation"として掲載予定(in press)。
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