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2011 年度 実績報告書

補聴効果改善を目的とする残響知覚の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21791636
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

柳井 修一  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60469070)

キーワード耳科学 / 実験心理学 / 生理心理学 / 残響 / 知覚 / 補聴器
研究概要

我々の日常生活に存在する雑音を考慮し、実際の語音知覚により近いと考えられる雑音呈示下での残響語音知覚を検討した。雑音下での残響語音のラウドネスを検討するため、雑音として7話者によるATR25文読み上げ音声ファイルをランダムに重畳した音声騒音を、残響語音として日本語単音節に0.1、0.2、0.3、0.4、0.5秒の残響インパルスを重畳したものを用い、これらをヘッドフォンで呈示した。残響0秒(残響なし)と比較して全ての残響語音で有意に大きなラウドネスが得られ、5種の残響語音間におけるラウドネスは同程度であった。単音節ごとのラウドネスを算出することで聴感レベルでの音量校正を施した単音節を用い、音声騒音呈示下における語音明瞭度と、マグニチュード推定法による「聴き取りにくさ」の評価を行った。残響0秒の語音明瞭度と残響時間0.3秒までの語音明瞭度は同程度であり、残響時間0.4秒以上で語音明瞭度が有意に低下することが明らかになった。また、残響0秒と残響0.2秒までの聴き取りにくさは同程度であり、残響時間0.3秒以上で語音の聴き取りにくさが有意に増大することが明らかになった。これらの結果から、1、残響0秒と比較して0.1秒以上の残響時間でラウドネスが増大すること、2、残響0.1秒及び0.2秒の語音明瞭度及び聴き取りにくさは残響0秒と同程度であることが明らかになった。スピーカーから音声騒音と残響語音を呈示した音場実験からも、上記のヘッドフォンを用いた実験と同様の結果が得られた。
以上の結果から、残響がない語音と比較してより大きく、かつ残響がない語音と同程度に明瞭な語音聴取が可能な残響時間は0.2秒以下であることが明らかになった。音場でも同様の結果が得られたことから、本研究の結果は補聴効果改善に資するのみならず、日常的な生活空間である住まいの音環境改善手法への応用が可能である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 長期食餌制限とサクセスフル・エイジング-ラットにおける認知機能の改善-2012

    • 著者名/発表者名
      柳井修一
    • 雑誌名

      行動科学

      巻: 50 ページ: 177-186

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 補聴器適合検査のための雑音負荷時の語音明瞭度の検討2011

    • 著者名/発表者名
      齋藤修・西村忠己・吉田悠加・福田芙美・柳井修一・細井裕司
    • 雑誌名

      Audiology Japan

      巻: 54 ページ: 147-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 次世代補聴器の開発:軟骨伝導補聴器-既存の気導補聴器が使用できない難聴者のための補聴器2011

    • 著者名/発表者名
      細井裕司・柳井修一・西村忠己
    • 雑誌名

      耳鼻咽喉科・頭頸部外科

      巻: 83 ページ: 373-376

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Duration-dependent growth of N1m for speech-modulated bone-conducted ultrasound2011

    • 著者名/発表者名
      Tadao Okayasu, Tadashi Nishimura, Akinori Yamashita, Seiji Nakagawa, Yoshiki Nagatani, Shuichi Yanai, Yuka Uratani, Hiroshi Hosoi
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 495 ページ: 72-76

    • 査読あり
  • [学会発表] 反射・残響の少ない音環境における語音明瞭度評価-残響と外部騒音による影響-2012

    • 著者名/発表者名
      松井淑恵・柳井修一・下倉良太・細井裕司
    • 学会等名
      日本音響学会2012年春季研究発表会
    • 発表場所
      神奈川大学横浜キャンパス
    • 年月日
      2012-03-13
  • [学会発表] 骨導超音波語音の韻律の変化によるミスマッチフィールド2011

    • 著者名/発表者名
      岡安唯・西村忠己・山下哲範・浦谷悠加・細井裕司・柳井修一・長谷芳樹・中川誠司
    • 学会等名
      日本耳鼻咽喉科学会大阪地方連合会第319回例会
    • 発表場所
      大日本住友製薬会議ホール
    • 年月日
      2011-12-03
  • [学会発表] 軟骨伝導補聴器の開発:クリック音刺激によるラットの軟骨伝導ABR測定2011

    • 著者名/発表者名
      福田芙美・清水直樹・柳井修一・西村忠己・細井裕司
    • 学会等名
      第21回日本耳科学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-11-24
  • [学会発表] 骨導超音波語音のプロソディーの変化に対するミスマッチ反応2011

    • 著者名/発表者名
      岡安唯・西村忠己・山下哲範・中川誠司・吉田悠加・柳井修一・長谷芳樹・細井裕司
    • 学会等名
      第56回日本聴覚医学会学術講演会
    • 発表場所
      アクロス福岡
    • 年月日
      2011-10-27
  • [学会発表] 長期食餌制限による老齢ラットの認知能力改善2011

    • 著者名/発表者名
      柳井修一
    • 学会等名
      日本行動科学学会2011年度年次大会
    • 発表場所
      桜美林大学四ッ谷キャンパス(シンポジウム:サクセスフル)(エイジングへの招待)
    • 年月日
      2011-09-14
  • [学会発表] ラットの時程の記憶の獲得に与えるNMDA型グルタミン酸受容体阻害剤MK801投与の効果2011

    • 著者名/発表者名
      畑敏道・石野誠也・柳井修一・岡市広成
    • 学会等名
      Animal 2011(日本動物心理学会第71回大会)
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] 骨導超音波語音の韻律の変化によるミスマッチフィールド2011

    • 著者名/発表者名
      岡安唯・西村忠己・山下哲範・浦谷悠加・細井裕司・柳井修一・長谷芳樹・中川誠司
    • 学会等名
      日本耳鼻咽喉科学会大阪地方連合会第318回例会
    • 発表場所
      大日本住友製薬会議ホール
    • 年月日
      2011-09-03
  • [学会発表] ホスホジエステラーゼ阻害剤シロスタゾールが若齢マウスの学習課題遂行に及ぼす効果2011

    • 著者名/発表者名
      柳井修一・遠藤昌吾
    • 学会等名
      日本基礎老化学会第34回大会
    • 発表場所
      京王プラザホテル
    • 年月日
      2011-06-16

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公開日: 2013-06-26  

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