本研究では、共同研究者であるトルコのHacettepe大学医学部小児科遺伝学部門のDilek Aktasによって収集された常染色体劣性非症候群性難聴の血族婚1大家系のDNAサンプルを用いて全ゲノムを対象とした連鎖解析を行ない、染色体領域7q21.11-q21.13の約10Mbpを最も連鎖の可能性が高い領域として同定し、この遺伝子座位をDFNB78と名付けた。D:FNB78の候補領域として絞られた約10Mbの領域を詳細に解析して、領域内に存在する候補遺伝子を選抜し、これらの遺伝子のエキソン、プロモーター領域における病因変異の有無を探索を行ってきたが、有力な変異は見つからなかった。一方、2003年にパキスタンの常染色体劣性非症候群性難聴家系を解析して7q11.22-q21.12の18Mb内にマップされたDFNB39について、その後、この領域内に存在する肝細胞増殖因子hepatocyte growth factor(HGF)遺伝子の非コーディング領域に難聴の原因と思われる突然変異を発見したという論文が報告された。HGF遺伝子は、DFNB78の候補領域10Mbの中に存在しており、従って、DFNB78についても有力な候補遺伝子と考えられたため、DFNB78家系におけるHGF遺伝子変異の有無を調べたところ、DFNB78家系のHGF遺伝子についても、DFNB39と同じ非コーディング領域の変異が同定された。同変異はパキスタンのDFNB39家系とトルコのDFNB78家系に共通の祖先に生じた変異と考えられる。、
|