本研究は、ステレオナビゲーションを用いて手術を行い、得られた臨床データから、内視鏡手術のための有効な手術トレーニングシステムを開発することが目的である。本年度は昨年度施行したステレオナビゲーション臨床実験結果からステレオナビゲーションの改良をした。 ステレオナビゲーションの術中誤差は3~4mmであり、より精度を向上させる必要があった。そのため術前CT撮影時に深部方向の鼻内点に印を付け、術中のレジストレーション点として追加した(当院倫理委員会承認)。そうすることにより術中誤差を少なくすることが出来た。しかし複眼硬性内視鏡が直視鏡だけでは対応困難な症例(前頭洞病変や上顎洞病変)があり、複眼硬性斜視鏡の開発を試みたが技術的問題から完成させることはできなかった。そのため単眼硬性斜視鏡による透過表示ナビゲーションのシステムを構築した.複眼硬性直視鏡によるステレオナビゲーションにより、安全かつ的確に高度な手術操作ができた。斜視鏡を必要とする症例に対しては、単眼硬性斜視鏡による透過表示ナビゲーションを使用した、複眼硬性直視鏡によるステレオナビゲーション、単眼硬性斜視鏡による透過表示ナビゲーションの臨床データを蓄積、解析し、バーチャル手術シュミレーションが行えるように試みた。 バーチャル手術シュミレーションは、現場の体験でしか教えられなかった手術教育を擬似体験させることができ、内視鏡手術に熟練するまでの時間を短縮させる。さらには手術時副損傷を減少させることができると考える。このような手術トレーニングシステムを開発することは、手術手技のトレーニング効率を飛躍的にあげ、より安全に手術を施行できるようにすると期待できる。
|