研究概要 |
1)リポフスチンの細胞傷害作用:メカニズムの分子レベルでの解析 リポフスチン構成成分の1)A2E, 2)ATR-dimer, 3)Retinly palmitate,のそれぞれを網膜色素上皮に対する作用をin vitroで検討した。その結果いずれの因子の付加によっても血管新生因子VEGFの発現をmRNAレベルで上昇させる事がわかった。また、興味深い事にA2Eの負荷によって補体制御因子である加齢黄斑変性の疾患感受性遺伝子として同定されているFactor Hの結合タンパク質であるアドレノメジュリンの発現上昇も認めた。さらに、in vivoの検討ではアドレノメジュリンの硝子体内投与により脈絡膜新生血管が抑制できる事を示した。更に、他の因子についても同様の検討を加えると同時に、更に他の補体、並びに炎症系のマーカーの挙動を明らかにし、リポフスチンの沈着によるRPEの変化を明らかにする事で脈絡膜新生血管発症のメカニズムの手がかりを得る事を予定している。 2)リポフスチン沈着と慢性炎症:in vivoでの解析 RPE特異的なconditionalノックアウトマウス作成のためのRPE65-Creトランスジェニックマウスの系統を作成し、RPE特異的なCre遺伝子の発現を確認した。また、RPEでb-cateninをノックアウトしたマウスを作製するためにb-cateninfloxマウスと交配をすすめており、現在、ヘテロマウスの作成に成功している。現時点ではホモマウスが産出されず、現在原因を調査中である。
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