本研究は、眼内液中に分泌型の熱ショック蛋白が存在し、その中には炎症性眼内浸潤細胞に対して抗原性を示すもの、逆に免疫抑制活性を有するものがあると仮説を立て、それを検証するために行った。まず、白内障およびぶどう膜炎患者から採取した前房水における各種熱ショック蛋白の存在の有無について検索を行った。その結果、前房水中におけるHSP27の発現が検出された。一方、HSP10、HSP60、HSP70は検出限界以下であった。次に、眼内液中に検出されたHSP27のリコンビナント蛋白を、ぶどう膜炎患者眼局所より樹立したT細胞クローンと共生培養し、HSP27がT細胞の増殖能やサイトカイン産生能に与える影響を解析した。その結果、HSP27はぶどう膜炎患者眼局所浸潤細胞由来のT細胞クローンの持つインターフェロンγ産生能を亢進させる事が明らかとなった。
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