健常眼におけるAO-SLOの撮影 平成21年度に撮影した健常眼の経時的変化を検討するため、再度同一被験者でAO-SLOの撮影を行い、健常眼における同一部位での変化量に関するデータを蓄積した。京大病院スタッフおよび株式会社ニデック・株式会社浜松ホトニクスよりボランティア募集を行い、のべ30名の撮影を行った。正常眼においても視細胞反射像に経時変化が認められることが判明し、視細胞代謝サイクルと関連していると考えられた(投稿準備中)。 網膜色素変性患者眼におけるAO-SLOの撮影 平成21年度から継続して、網膜色素変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータを蓄積している。現在までに80名の撮影を行った。経時的変化を観察するため、6ヶ月に一度検査を行っている。 視細胞の形態と機能の相関に関する検討 AO-SLOで得られた健常眼および網膜色素変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態と、SD-OCTにより得られた黄斑部網膜の3次元立体構造(全網膜厚・外顆粒層厚・視細胞外節厚)との相関を検討したところ、網膜厚と視細胞密度が正の相関を示した。また眼底視野計(MP-1)により得られる眼底像に重ね合わせた網膜感度マップと視細胞形態・密度との相関を検討したところ、網膜感度と視細胞密度も正の相関を示した(投稿準備中)。これらのデータから形態機能相関解析ソフトを作成中である。また他疾患でも同様の検討を行い、中心性漿液性脈絡網膜症では視細胞密度が減少し、視機能と相関していることを示し(Ooto et al Ophthalmology 2010)、黄斑上膜では視細胞に皺襞を認め、この所見は変視症の程度と関連があることを報告した(Ooto et al Ophthalmology 2011)。
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