研究概要 |
まず、上強膜静脈を結紮することによる眼圧上昇を観察した。まず4匹4眼の上強膜静脈を2本結紮し、5週間経過観察した。平均眼圧は処置前の13.2mmHgに対し、1週後20.6mmHg、2週後20.2mmHg、3週後13.8mmHg、4週後18.8mmHg、5週後19.4mmHg(5週後は2匹が死亡したため2眼の平均)と、眼圧上昇傾向を見せたが、効果が弱かったため、次に8匹8眼の上強膜静脈3本を結紮した。8眼のうち、2眼が眼球癆に陥ったため6眼の経過を観察した。平均眼圧は処置前の14.6mmHgに対し、1週後19.3mmHg、2週後17.8mmHg、3週後19.3mmHg4週後20.0mmHg5週後20.7mmHgと、2本結紮と大差なかった。当初上強膜静脈の焼灼を予定していたが、焼灼による炎症の影響を除去するため結紮で行ったが、結紮では1)結紮が弱いと血流が再疎通する、2)逆に強いと出血を来たし、眼球癆を起こしやすい、という問題があるため、今後は焼灼を行う予定とする。また、ドネペジル投与法の至適化のため、既に検討した経口投与法と、硝子体投与、背部浸透圧ポンプ留置法の効果を視神経切断モデルを用いて検討した。視神経切断後1週間で生存網膜神経節細胞数は1135/mm^2となるが(n=6)^1、ドネペジル10μMの硝子体内投与で1251.8/mm^2と生存が促進された(n=5)。これは、すでに報告した1mg/kgの経口投与(1330.3/mm^2)^1より劣るものの、有意な保護効果を示し、研究スタイルによっては使用してよい投与法と考えられる。 参考文献 1. Miki A, Otori Y, Morimoto T, Okada M, Tano Y : Protective effect of donepezil on retinal ganglion cells in vitro and in vivo.Curr Eye Res.2006 ; 31 : 69-77.
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