研究課題
若手研究(B)
圧感受性に関わる因子を探索するために、線維柱帯細胞の3次元培養における加圧モデルを構築した。具体的には、コラーゲンと培地と細胞を混合した後にpHを変えることでゲル化させ、細胞をコラーゲン培地の中で3次元的に遊走・増殖させた後、このコラーゲン培地に重りを乗せることで全体を加圧し、細胞の変化を免疫染色にて観察した。共焦点顕微鏡を用いた観察によって、重合アクチンが減少することがみとめられた。アクチン重合阻害剤であるROCK阻害剤がヒトの眼圧を下降させることを考えると、この反応はROCK阻害剤の作用と同一のメカニズムをもって眼圧のホメオスターシスに寄与していると推測された。しかしながら3次元培養の細胞はタンパク質解析が困難であったため、我々は圧ストレスと酸化ストレスとに共通の細胞内反応が生じるのではないかという推測のもと、酸化ストレスを加えた後の線維柱帯細胞の反応を調べた。その結果、Akt-PI3Kシグナルやp38シグナルが活性化されることが分かった。さらにこれらのシグナルを阻害することで、酸化ストレスによる細胞死が促進されることを見出した。これらの結果はこれまでに報告されていない知見であり、圧に対応した線維柱帯細胞の生理的な房水流出調節機構の解明にむけて重要な手掛かりを得た。
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