研究課題
本研究の目的は、眼科領域にとどまらず全身の臓器・組織移植後に起こる血管・リンパ管新生によって引き起こされる拒絶反応を抑制することと、悪性腫瘍の多臓器・組織への転移を抑制することである。全ての実験においてマウス及びマウス細胞を用いる。平成22年度にはpodoplaninFcキメラ蛋白を使用し、マウス角膜縫合モデルを用い、リンパ管新生反応が抑制できるかどうかを検討した。その結果、角膜縫合モデルでpodoplaninFcキメラ蛋白を使用することでリンパ管の誘導抑制が認められ。また血管成熟の反応では、マウス角膜縫合モデルや胎生期血管新生(生理的)モデルを用い、Fcキメラ蛋白を結膜下または腹腔内投与を行い、コントロール群と比較すると有意に血管成熟を抑制することに成功した。特に炎症期の血管にては、血管周皮細胞の誘導は抑制されており、また血管自体もかなり狭細化していたことが判明した。また網膜血管では血管誘導方向も抑制されており、血管構築の異常が認められていた。In vitroの実験においても、血管内皮と血管周皮細胞をを共培養し、migrationを確認した結果、血管周皮が血管内皮側へ誘導することを抑制出来た。この結果は血管周皮細胞誘導に関連するサイトカインであるPDGF (platelet derived growth factor)-BBと同様の結果を得ることが出来たためpodoplaninはPDGF-BBと強いaffinityが誇る可能性があると考えた。この結果、podoplaninをコントロールすることでリンパ管新生だけでなく血管成熟も抑制することが出来た。
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