研究概要 |
血管新生には主に血管内皮成長因子(VEGF)の作用が重要であるとされているがその系意外にも様々な血管新生を促進する系がしられている。ソニックヘッジホッグ(Shh)は血管新生に促進的に働くことが知られているがその作用機序がVEGFの下流で働くものか、あるいは単独で別の系で働くものかは明らかにされていない。我々はShhの下流で働くとされているアンギオポイエチン(Ang)がShhの血管新生に作用する際の鍵を握る分子であると仮定し研究を進めている。 角膜ポケット法でShhを添加したものとしないものでは角膜血管新生において添加した方が有意に血管新生が促進され、また、Shhの阻害剤であるシクロパミンではその効果を抑制することができた。同様に血管内皮細胞-線維芽細胞の共培養系でもShh添加で血管内皮細胞の管腔形成が促進され、シクロパミンで抑制されることが確認できた。これらの結果からShhは血管新生に関与しており、それを抑制することにより血管新生を抑制することが示された。今後、眼内血管新生動物モデル(角膜電気焼灼、実験的脈絡膜血管新生等)を用いてAng1,2及びTIE2の発現に関して検討する。Ang1及びAng2強制発現ウイルスベクターあるいはAng1及びAng2に対するsiRNAを用いてAng1及びAng2を強制発現あるいはノックダウンすることにより眼内血管新生時のAng1及びAng2の役割を明らかにする。Ang1及びAng2はNF kappa B抑制を介し抗炎症的にも作用すると予想されるので、その効果について、マクロファージなどの炎症細胞への影響やCOX2などのアラキドン酸代謝に関わる酵素、プロスタグランジンE2(PGE2)の産生量などに焦点をあてて検討する。また、Shhとの関係を明らかにするためにShhの存在下でのAng1またはAng2ノックダウンを行いShhとAng1,2-TIE2系との関連について検討する。
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