• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

遺伝子導入によるTGFβシグナル阻害を戦略とした角膜内皮障害の予防法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21791705
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

住岡 孝吉  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40433362)

キーワード角膜内皮 / 角膜上皮 / 創傷治癒
研究概要

目的:角膜内皮は角膜の透明性維持に必要不可欠な細胞である。線維芽細胞様に変貌しうる治療困難な角膜内皮疾患全般の治療法を探索するため、角膜内皮の創傷治癒をサイトカインシグナルに着目して検討する。
方法:Wistarラットを使用。CAGプロモーターを用い、Cre/LoxPシステムを使用しアデノウイルスベクターによる遺伝子導入を行った。その後ヒアルロン酸にSmad7を混入したものとCre-Adのみのコントロール群とに分け、3日後、1規定の水酸化ナトリウム10mlを点眼し感染対策としてオフロキサシン眼軟膏(タリビット眼軟膏^R)を塗布した。そして3日後、1週間後、2週間後と経時的に屠殺し免疫組織化学的に検討した。また走査電子顕微鏡を用いて直接内皮面の微細構造を観察した。
結果:コントロール群では線維芽細胞様に変化した異常な増殖物が内皮下でみられ、リン酸化Smad2(Phospho Smad2)、a平滑筋アクチン(aSMA)、1型コラーゲンは角膜実質や角膜内皮下にみられた。Smad7群では角膜内皮下でのPhospho Smad2、aSMA、1型コラーゲンの発現は抑制されていた。PCNAは1週間後のみSmad7群で角膜内皮での著明な核内での発現が観察された。
考案:角膜内皮は軽度の創傷では各サイトカインの働きにより遊走し治癒するが、重度の創傷では炎症が高度となり、上皮-間葉系移行と同様の内皮-間葉系移行がおこり瘢痕治癒するため、遊走以外に組織線維化を予防することが求められる。Smad7を前房内に注入した群では著明に内皮下の異常な増殖物は抑制されており、免疫組織学的検討で内皮-間葉系移行が抑制されていることが判明した。TGFb/Smadシグナルを阻害することが角膜内皮透明治癒において有効となることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Endothelial Mesenchymal Transition : A Therapeutic Target in Retrocorneal Menbrane.2010

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Miyamoto, Takayoshi Sumioka, Shizuya Saika
    • 雑誌名

      CORNEA

      巻: 29 ページ: 52-56

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Suppression of injury-induced epithelial-mesenchymal transition in a mouse lens epithelium lacking tenascin-C.2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S, Sumioka T, Fujita N, Kitano A, Okada Y, Yamanaka O, Flanders KC, Miyajima M, Saika S.
    • 雑誌名

      Molecular Vision

      巻: 16 ページ: 1194-1205

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transforming growth factor beta signal transduction : a potential target for maintenance/restoration of transparency of the cornea.2010

    • 著者名/発表者名
      Saika S, Yamanaka O, Sumioka T, Okada Y, Miyamoto T, Shirai K, Kitano A, Tanaka S.
    • 雑誌名

      Eye Contact Lens

      巻: 36 ページ: 286-289

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of blocking TGF-beta/Smad signal suppresses epithelial-mesenchymal transition and fibrogenic reaction by corneal endothelium post-alkali-burn in rats2011

    • 著者名/発表者名
      Sumioka T, Ikeda K, Okada Y, Yamanaka O, Saika S
    • 学会等名
      Keystone Symposia
    • 発表場所
      Vancouver, Canada
    • 年月日
      20110100
  • [学会発表] Impaired angiogenic response in cornea by lacking tenascin C in mice2010

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Sumioka, Ai Kitano, Norihito Fujita, Yuka Okada, Shizuya Saika
    • 学会等名
      ARVO
    • 発表場所
      Florida, USA
    • 年月日
      2010-05-03
  • [学会発表] 角膜創傷治癒過程での角膜血管新生におけるテネイシンCの役割2010

    • 著者名/発表者名
      住岡孝吉、岡田由香、藤田識人、北野愛、雑賀司珠也
    • 学会等名
      日本眼科学会総会
    • 発表場所
      名古屋、日本
    • 年月日
      2010-04-16

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi