近年、レチノイドによる免疫調節作用が注目されている。今回、核内受容体の一種であるレチノイン酸受容体α、β、γを活性化するretinoic acidおよびレチノイン酸受容体α、βを特異的に活性化する合成レチノイドAm80を用いてベーチェット病などの難治性ぶどう膜網膜炎の動物モデルとして知られる実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を用いてretinoic acidおよびAm80の炎症抑制効果を検討した。その結果、retinoic acidおよび合成レチノイドAm80の投与群では基剤投与群に比べてEAUの炎症スコアの有意な低下が認められた。さらに所属リンパ節細胞を抗原で刺激し、炎症性サイトカインの産生について検討したところretinoic acid、Am80投与群ではIFN-gamma、IL-17の産生が有意に低下、さらにCD4陽性T細胞上のIL-6 receptor(CD126)の発現が低下していることが確認された。さらにEAUの発症期にAm80を投与したところ、EAUの発症の遅延がみられた。以上の結果よりレチノイン酸受容体はぶどう膜網膜炎の治療標的分子となる可能性が示唆された。
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