研究課題
カロリー制限は酵母、線虫をはじめ、哺乳類でも寿命延長効果が報告されており、近年はSirT1などその分子メカニズムが解明されてきており注目されている。またカロリー制限は寿命延長だけでなく、各臓器の加齢性変化を抑制するという報告もあり、我々は、カロリー制限を行うことにより加齢に伴う涙腺の涙液分泌機能低下を抑制できると仮説を立てた。そこで、加齢に伴い増加するドライアイにおいて、カロリー制限における涙液分泌能維持機構をラットモデルを用いて証明し、そのメカニズムを解明することを目的とした実験を計画した。2年目の本年は、Fischer344 Ratのオスを24週齢からカロリー制限開始とし、コントロールは自由摂取とし、カロリー制限群はカロリー制限食(-30%)で飼育した。若齢群の比較対象として8週齢のラットを用いた。飼育期間は6ヶ月カロリー制限群では自由摂取群と比較して、涙液分泌量が有意に保持され、線維化が少ないことを本年度、明らかにした。また、摘出涙腺でのカルバコール刺激に対するタンパク分泌機能は、カロリー制限群でより高かった。涙腺組織片で、酸化ストレスマーカーである8-OHdG、HNEで染色したところ、カロリー制限群で自由摂取群と比べ低発現であった。(Biochem Biophys Res Commun. 2010;397(4):724-8.)この実験で、加齢に伴う涙腺機能低下をカロリー制限によって抑制することができ、またその分子メカニズムに酸化ストレスが関与していることを明らかにした。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 397 ページ: 724-728