カロリー制限は、酵母、線虫をはじめ、哺乳類でも寿命延長効果が報告されており、近年はSirT1などその分子メカニズムが解明されてきており注目されている。またカロリー制限は寿命延長だけでなく、各臓器の加齢性変化を抑制するという報告もあり、我々は、カロリー制限を行うことにより、加齢に伴う涙腺の涙液分泌機能低下を抑制できると仮説を立てた。そこで、加齢に伴い増加するドライアイにおいて、カゴリー制限における涙液分泌能維持機構を、ラットモデルを用いて証明し、そのメカニズムを解明することを目的とした実験を計画した。昨年までの実験の結果では、カロリー制限をしたラットにおいて、6ヶ月カロリー制限群では自由摂取群と比較して、涙液分泌量が有意に保持され、線維化が少なく、涙腺組織片で、酸化ストレスマーカーである8・OHdG、H:NEが低発現であったことを報告した。(Biochem Biophys Res Commun.2010;397(4):724-8.)3年目の本年は、NAD+依存性の脱アセチル化酵素であるSIRT1(線虫から哺乳類にいたるまで進化的に保存されたシステムと考えられており、CRにおいて大きな役割を演じている)の発現を、いくつかの抗体を用いて涙腺において免疫染色で調べたが、特異的な発現を観察できなかった。Microarray、PCRでは涙腺での発現を確認できたため、抗体の特異性が低いことが原因と考えられた。
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