研究概要 |
ベーチェット病に代表される難治性内因性ぶどう膜炎は、眼炎症発作を繰り返すため、現在でも失明原因として大きな位置を占めている。その発症機構に活性化CD4 T細胞が中心的な役割を果たし、CD4 T細胞から産生されるIFN-γ、TNF-α、IL-2を代表とするTh1サイトカインとIL-17、IL-23を代表とするTh17サイトカインがベーチェット病の病態形成に重要な役割を果たしていると考えられている。免疫反応の中心的な役割を果たすCD4 T細胞は、抗原刺激のみならず、補助シグナル分子と呼ばれる細胞表面機能分子の働きによって、その活性化・不活性化が制御されている。従って、これらの分子の過剰な反応や欠失は免疫異常を招き、ベーチェット病に伴うぶどう膜炎の発症に関与していると考えられている。申請者らは、ベーチェット病患者のCD4 T細胞に活性化補助シグナル分子であるICOSが高発現し、ICOSがベーチェット病患者のTh1細胞およびTh17細胞のサイトカイン産生に関与し、活動性の指標およびバイオマーカーになり得ることを報告した(Usui Y, et al, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci. 51:5099-5104,2010)。一方、ベーチェット病の寛解期ではCD4 T細胞上の抑制性補助シグナル分子が活性化補助シグナル分子より発現し、抑制性サイトカインを産生することで眼炎症が終息していくことが推測されるデーターを得た。このように免疫反応の中心的役割を果たすCD4T細胞に発現している補助シグナル分子およびそれに伴うサイトカイン産生は、ベーチェット病の病態把握や治療効果判定に有用なバイオマーカーになり得ると考えられる。
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