前年度の補助金による購入したコンピューターを用いて、イソプタ探索アルゴリズム、変動抑制アルゴリズム、暗点アルゴリズムの3つの新しいアルゴリズムを内蔵した自動動的視野測定プログラム(Program K)をVisual Basicを用いて作成した。本年度は動的視野測定の行えるOctopus 900視野計を購入し、ソフトウェアーであるProgram Kを用いて自動動的視野測定の臨床実験を行った。まずOctopus 900視野計でProgram Kを可動できるようTuebingen大学、RE medicaにポートの開設を依頼した後新しいポートを独自に作成した。次に正常被検者を対象にProgram KがOctopus視野計で十分問題なく作動することを確認した後、実際患者を測定しProgram Kの臨床的有用性を検証することとした。対象は、緑内障性視野障害を有する10例10眼、求心性狭窄や輪状暗点を有する網膜色素変性症例4例4眼、半盲あるいは4分の1盲を有する神経眼科疾患症例4例4眼である。測定方法は半自動動的視野計であるSKPと、完全自動動的視野測定計であるProgram Kの2種類の動的視野検査を同一条件下で測定し視野の比較検討を行った。解析はSKPとProgram Kの視野を重ね合わせ、その結合面積(Union area)と共有面積(Intersection area)を算出し、その比を用いて位置と面積を指標とした一致率を算出した。結果全イソプタにおける一致率は平均69.6%であった。また、測定時間に関しては、SPKでは9.3分、Program Kでは11.6分であった。この結果はProgram Kが臨床上使用することができうる精度を備えていると推測され、今後自動動的視野測定プログラム(Program K)は、視野異常を有する患者における重要な視野計の一つになる可能性が示唆された。
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