家兎の耳介軟骨より採取した軟骨細胞を高密度で細胞を播種すると軟骨細胞シートを作成することができた。軟骨細胞シートはしっかりとした強度を有しておりシリコンチューブに巻き付けることができた。シリコンチューブに巻き付けた細胞シートを回転培養したところ、軟骨細胞シート内にある細胞外基質のグリコサミノグリカンが増加していった。サフラニン-0染色では、回転培養開始前はほとんど染色されなかったが、回転培養2週間後には全体的に染色されており、軟骨細胞シートの厚みも増加していた。各培養期間のグリコサミノグリカンを定量すると回転培養4週間まではグリコサミノグリカン含有量は増加したが、それ以降グリコサミノグリカン含有量は増加しなかった。回転培養6週間後のグリコサミノグリカン含有量は兎の耳介軟骨内の含有量とほぼ同等であり、兎の気管軟骨の72%まで達した。軟骨細胞シートをシリコンチューブに巻き付けて6週間回転培養を行った後にシリコンチューブを取り除くと、軟骨細胞シートは変形することなく円筒の形を維持していた。また、外部より圧迫、屈曲などの圧力を加えてもその圧力を解除すると元の形状にすぐに戻る弾力性も有していた。また、この円筒状のシートをリング状に切断しても、または螺旋状に切開を加えても、その形状を維持することができた。生体外ではあるが、この軟骨細胞シートは、自己の細胞のみでも円筒状の構造を維持でき、圧迫や屈曲に耐えうる柔軟性を有しているため、再生気管の骨格として十分に使用できるものである。
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