研究概要 |
研究初年度である平成21年度は,Hirschsprung病及びHypoganglionosis症例に対して、本年度の手術症例及び過去の数例についてInterstitial Cells of Cajal(以下ICC)及び神経節細胞・神経叢の染色行うことから開始した。Hirschsprung病に関しては、これまでの報告同様にc-kit陽性細胞の発現は明らかな減弱からほぼ正常に近いものまで症例によって異なっていた。今回5例のHypoganglionosis症例について行った染色では、症例にばらつきはあるものの、c-kit陽性細胞はcontrolに比べて、発現が減弱している可能性が示唆された。Hypogangliollosisに関してはこれまでにICCに関するまとまった報告がないため、この実験の意義は大きいと思われる。現在、ICC前駆細胞の可能性を示唆されている細胞やICCの起源の可能性を示唆されている間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:以下MSC)の、切除検体上での免疫組織学的染色を試みている。年度後半からは、分化誘導・移植実験に用いるMSCの単離・回収手技の修得に力を注ぎ、現在ほぼ安定して採取できるように手技を確立した。単離したMSCよりsphere formingに成功し,得られたsphereからin vitroでの分化assay実験も実施中である。また、Hypoganglionosis腸管の手術検体に対して、sphereの移植(共培養)を行うことができた。同症例腸管検体に対しては神経堤幹細胞(Neural Crest Stem Cell) sphereの移植実験も同時に実施しており,現在結果待機中である。Hypoganglionosisの症例自体が希なため、このような実験系も非常に貴重なものであり、今後も両系統の結果の対比も含めた解析を進めていく予定である。
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