血管奇形に対する硬化療法は、エコーや血管造影法をガイドに用いて行われてきた。血管造影法は全体像を確認するのに適しているが、複数回の治療が必要な硬化療法においては、放射線被曝を繰り返すことが問題となる。近年インドシアニングリーンと近赤外線カメラを用いた蛍光可視化装置が開発され、動静脈やリンパ管の同定に使用されてきている。この装置を利用して、安全で効果的な硬化療法を血管奇形に行えるかどうかについて検討をおこなった。 研究期間中に合計62患者110例に対してICG併用による硬化療法をおこなった。顔面48例四肢51例体幹11例であった。ICG/PDEを用いて状態を把握したのち、ガイド下に硬化療法を行った。主に血管造影法(digital subtraction angiography)と比較をおこなった。浅層の部位(特に口唇部・眼窩周囲・指尖部・手掌・手背)において特に効果的であった。これらの部位は血管奇形に対する硬化療法において重篤な合併症(失明・指趾壊死等)を引き起こす可能性のある部位であり、この方法を用いることにより被曝なく、より安全で確実な治療が可能になることが示唆された。
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