研究概要 |
乳癌術後乳房再建を目的にin vivoでの脂肪組織再生を試みている。組織再生には、(1) 足場、(2) 細胞、(3) 増殖因子などの微小環境が必要である。 我々は今回、実験動物としてウサギを使用した。全身麻酔下に鼠径部のfat padにポリプロピレンメッシュで作成した円柱状のケージ(直径2cm、高さ1cm)を移植し、スペースを確保した。タイプIコラーゲンスポンジを細切し、さらに生理食塩水で懸濁したものをケージ内部に注入して皮膚を閉じた。周囲の脂肪組織より脂肪前駆細胞を含む脂肪組織由来幹細胞が足場内に誘導され、足場内での脂肪組織再生を期待する。一定期間の後に標本を摘出し、ケージ内部の再生脂肪組織について組織学的に検討する。これをコントロールとする。 今後Platelet rich plasma(PRP)をウサギより抽出してケージ内に注入し、今回のコントロールと比較を行う。PRPは、Platelet derived growth factor(PDGF), basic fibroblast growth factor(bFGF)など各種増殖因子を含み、歯科領域では以前より臨床応用されてきた。PRPが脂肪再生にも効果的かどうかを検討する。 また、ウサギより得られる脂肪組織は極めて少ないため、十分な細胞数を確保するのが難しいという問題点があるが、ウサギ脂肪組織より脂肪組織由来幹細胞を分離し、増殖させ、足場内に移植することが脂肪組織再生に効果的かどうかについても検討する予定である。
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