P75ノックアウトマウスの安定した繁殖に成功した。 同時にS-100蛋白GFP発現マウスとのdouble transgenicマウスの作成を進め、これに成功した。 これらの実験動物を用いて、次年度には次の実験を行う予定である。 1 手術により坐骨神経に欠損を生じたS-100蛋白GFP非発現マウスに対してGFP発現マウスの神経移植を行い、一定期間の後に摘出する。ドナー坐骨神経内に進入したGFPの蛍光を以て髄鞘の再生を可視化する。この評価をP75ノックアウト・野生型両タイプについて行い、P75の欠失がin vivoで髄鞘の再生に及ぼす影響を知る。 2 S-100蛋白GFP発現マウスの神経組織から得た培養シュワン細胞を一定の条件下(wound healing assay又はボイデンチャンバー)で遊走させる。この評価をP75ノックアウト・野生型両タイプについて行い、P75の欠失がin vitroでシュワン細胞の遊走に及ぼす影響を知る。 これら1、2の結果により、P75が末梢神経の再生に及ぼす影響を知ることで顔面神経麻痺などの治療に関する新たな知見に繋げることが期待できる。 また、研究を進める中でP75ノックアウトマウスの皮膚創傷治癒が野生型に比べ遅延する事象を認めたため、その皮膚より培養した線維芽細胞を用いた実験でP75ノックアウトマウス線維芽細胞の遊走能・増殖能・筋線維芽細胞への分化が野生型のそれに比べ低下している事をin vitro/in vivo両面から示すデータを得た。 本件に関しても次年度に論文投稿の予定である。
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