Lew/CrlCrljフットのオスの後肢において、組織輪状除法により、リンパ腫モデルを作成した(n=20)。健側およびリンパ浮腫作成側において後肢周径、体積、組織圧を測定した。1週間後、リンパ浮腫作成側では後肢周径、容積、組織圧の増加を認めた。 また、輪状切除の際に集合リンパ管を確認できたものは6-Onylon糸でマーキングし、後におこなう顕微鏡下リンパ管吻合術に備えておいた。 しかしながら、こうして作成したリンパ浮腫モデルにおいて、顕微鏡下リンパ管吻合を試みたが、顕微鏡下にリンパ管を確認してリンパ管静脈吻合が可能であったのは2例のみであった。リンパ吻合後の治療効果(周径、容積、組織圧変化および病理組織学的効果)を統計学的に検討する予定であったが、母数が少ないため、組織圧および病理学的検討のみおこなった。組織圧は、リンパ浮腫作成後に有意に上昇を認めた。一方、リンパ浮腫モデルの皮下脂肪織およびリンパ管静脈吻合後の皮下脂肪織とでは病理学的に明らかな変化は認めなかった。健側およびリンパ浮腫作成前と比較すると、リンパ浮腫作成後の集計および容積は有意に増加していた。 研究の意義としては、まずはラットリンパ浮腫モデルの追試を確認した。次に、ラットにおいてリンパ管静脈吻合の手技を試行した。さらに、実際の臨床においては実施困難な組織圧測定および病理細織学的検討を行い、特に組織圧はリンパ浮腫モデルにおいて上昇するという知見を得た。
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