研究概要 |
21年度の実験で得られた結果を踏まえ、ケロイド由来培養線維芽細胞・正常成熟瘢痕由来線維芽細胞・正常皮膚由来培養線維芽細を用いてin vitroでの追加実験を行った。 Western blot法にてMMP-1,-2,MT1-MMP),TIMP-2の発現性について検討した結果、培養ケロイド線維芽細胞では今回検討した全ての分子において発現増加を認め、特にMMP-1,-2で有意な発現増加を認めた。 今回得られた結果に加え、既に広く知られている線維芽細胞におけるMMP-2の活性化と細胞外マトリックスの分解のメカニズム、また昨年度の実験で得られた蛍光抗体法によるケロイドでのMMP-2の発現局在等の結果から、ケロイドではMMP-2,TIMP-2,MT1-MMPが共発現している膠原線維東間の線維芽細胞で、MT1-MMP,TIMP-2を介してMMP-2が活性化され、その活性化したMMP-2が膠原線維束のマトリックス分解に関与していると考えられる。数種の腫瘍では、MMP-2とTIMP-2,MT1-MMPの発現増加とMMP-2の活性化亢進によってその浸潤能が亢進することが報告されており、元の創傷の範囲を超えて周囲の健常皮膚へ浸潤するケロイドにおいても、TIMP-2,MT1-MMPを介して活性化したMMP-2が、過剰に蓄積した膠原線維束のremodelingと同時にケロイド病変の拡大にも関与していることが示唆された。
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