集中治療室に入室する重症患者の予後不良因子として副腎皮質機能が考えられている。副腎皮質機能は炎症を制御するためにコルチゾルを分泌、調節している器官であり、その機能が低下した場合は炎症反応が過剰になり予後不良となるといわれる。コルチゾルの抗炎症効果をコントロールしているといわれるメディエータとしてmacrophage migration inhibitory factor(MIF)がある。コルチゾルとMIFが相互に作用して炎症反応のバランスを維持することが重要であると考え、重症感染症を対象として本研究を行った。その結果、副腎皮質機能が低下している群では低下していない群と比較してMIFが有意に高値であることが分かった。ACTH(adrenocorticotropic hormone)を投与した場合の副腎皮質からのコルチゾル産生能はMIFが高値であるほど低下していることが分かった。MIFが高いほど臓器不全スコアが高くなることが分かった。以上のことから、MIFは副腎皮質機能と関連があり、臨床的重症度を反映するメディエータであることが示された。
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