培養血管内皮細胞をヒスタミンやTNF-αを用いて刺激し、発現するVWF(フォンウィルベランド因子)propeptid2をELISA法を用いて測定し、Contorolと有意な差が得られるモデルを構築中である。これらの刺激系の結果を踏まえて、今後は血管内皮細胞の生育環現を低酸素濃度、高濃度酸素、また高血糖状態、低血糖状態にして、VWF propeptideやP-Selectinなどの内皮細胞障害のマーカーがどのように変化するのかを観察する。さらに、これらの条件下で生育した血管内皮細胞上に全血をポンプで吸引しながら動的に観察し、内皮細胞上でどのように血栓が形成されていくのかを観察することを検討している。 さら昨年度より行っている敗血症に伴う播種性血管内凝固症候群の患者血液を用いたVWF propeptideの測定をさらに症例数を増やして、予後や臓器不全との関連を現在検討している。VWF propeptide値はICU28日目の予後との関連は現時点では有意ではないが、VWF propeptide値が第1病日から第2病日にかけてさらに増加する症例、つまり血管内皮細胞の刺激が遷延している症例では、臓器不全障害スコアが最高値になるまでの日数が長いことが明らかとなった。このことは内皮細胞障害の持続が臓器不全の発展に関連していることと考えられる。これらの症例の血液を用いてHGMB-1などの臓器不全のマーカーとの関連を検討していく。
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