研究概要 |
本研究の目的は、重症熱傷・多発外傷患者では、敗血症・多臓器不全や急性呼吸促拍症候群などの病態の解明である。我々の開発した熱傷とエンドトキシンの2段階刺激による敗血症性急性肺障害モデル(LPS投与後の急性肺障害)において、HMGB-1の過剰発現がLPSに対する過剰反応性を増強するなどし、病態の悪化に関与するという仮説に基づき、HMGB-1過剰発現後の変化につき検討することである。平成21年度の研究成果としては、熱傷後敗血症モデルとなるマウスの作成の手技の確立をしたこと。血液・肺・肝臓・脾臓を摘出し保存検体として処理、ELISAによってサイトカイン(IL-6)の測定の手技を確立させたことである。以下具体的に確立した手技について報告する。BALB/cマウス(雄,7週,23-28g)を1週間ケージで飼育後に「sham」,「burn」の2群に分け、ペントバルビタール麻酔後に電気カミソリでマウスの背中を剃毛し、脱毛クリームを塗布後に水洗した。その翌日をDAY1とし、それぞれのマウスをエーテル麻酔後に、剃毛後の背部を5秒間高温水蒸気に暴露し、体表面積の約15%の範囲に全層性の熱傷を作成した。Sham群のマウスは同様に麻酔後に剃毛し、高温水蒸気には暴露しない。熱傷負荷後DAY1,3,5,7,11にペントバルビタールを腹腔内投与し麻酔後に、頚椎脱臼にてsacrificeし、ヘパリン入りシリンジにて心臓脱血し、肺・肝臓・脾臓を摘出し各種物質の定量をspecific sandwich ELISAで行った。次の段階として各種検体におけるHMGB-1の定量を行う予定であり、そのELISAの必要物品の準備や手技につき文献的に検討し、検査体制を整えた。
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