研究概要 |
肥満は、現代社会において重要な課題の一つであり、肥満によってアレルギー性喘息や病原菌への感受性の増大など、さまざまな免疫異常を引き起こすことが知られているがそのメカニズムは明らかとなっていない。本年度は、当研究室ですでに確立させている、金属アレルギーモデルマウスを使用して、舌下免疫療法の確立と、その肥満における影響を解析した。 LPSとニッケル溶液の混合液を用いてマウスに金属アレルギーを感作した。そのマウスに、10mM, 100mMのニッケル溶液に1-5%のcarboxy-metyl-cellurose (Ni-CMC)で粘性を持たせたものを10μl/miceの量で2カ月間週三回舌下投与し、脱感作終了後、抗原の耳介部皮内チャレンジを行い、金属アレルギーによる耳介腫脹を計測し、口腔免疫寛容の誘導効果を評価した。また、6-8週齢マウスに高カロリー食であるHigh fat 32 (Crea Japan)を2カ月与えて食事性肥満状態にし、その後金属アレルギーを感作した。その後100mM Ni-CMCによる脱感作を行った。 金属アレルギーモデルマワスにおいて、10mM Ni-CMC、100mM Ni-CMCの舌下投与いずれにおいても耳介腫脹を有意に抑制した。よって舌下投与した抗原の濃度と脱感作期間に比例してアレルギー症状が有意に改善されることが明らかになり、金属アレルギーにおける舌下粘膜療法モデルマウスの確立に成功した。次に、食事性肥満を誘導したマウスにおいて同様に感作を行い、舌下免疫を行ったところ、肥満マウスでは、普通マウスに比べて舌下免疫の有無にかかわらず、耳介の腫脹が抑制されることが明らかとなった。肥満固体では、一部の細胞集団で免疫不全の状態が誘導されていることが報告されているため、金属アレルギーに関与する細胞集団で免疫不応答が起こっている可能性が示唆された。
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