哺乳類における歯の交換は、乳歯が一生の間に一度だけ永久歯に生えかわる二生歯性を特徴としている。マウスには歯の交換が一切見られないので、乳歯列が歯の代生と加生によって永久歯列に置き換わる交換のメカニズムを明らかにするために、本研究では実験動物スンクス(Suncus murinus)の歯列の発生を調べた。スンクスの全ての歯胚の発生順序を調べると、隣接する歯胚は同時には形成されず、形成時期に一定のずれがあることが分かった。この歯の交換様式は、先行して形成された歯胚が近傍に抑制因子を分泌して後続歯の発生位置と発生時期を決定している、と考えると上手く説明できる。
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