研究概要 |
本研究では、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisによる歯周組織構成細胞をはじめとした宿主細胞への侵入機構とCandida albicansまたはその菌体成分によるP.gingivalisの侵入増強メカニズムを明らかにすることを目的として、これら細菌の侵入にかかわる宿主細胞のタンパク質分子の動態ならびに関連する菌体成分について探索した。 本年度は以下の結果が得られた。1.C.albicans加熱死菌で前培養したマウスマクロファージ様細胞J774.1のPam_3CSK_4またはlipidA(細菌菌体成分の合成品)によるMCP-1,IL-6およびTNF-α産生は、前処理しなかった細胞と比較して、C.albicansの濃度依存的に増加した。2.Saocharomyces cerevisiae由来のマンナン前処理では、J774.1細胞のPam_3CSK_4またはlipidAによるMCP-1,IL-6およびTNF-α産生は増加しなかった。3.Curdlan前処理では、J774.1細胞のPam_3CSK_4またはlipidAによるMCP-1,IL-6およびTNF-α産生は増加しなかった。以上の結果で見られた宿主細胞の反応が、P. gingivalisの侵入に影響を与える可能性がある。現在、そのメカニズムについて、今年度樹立した歯周病患者由来歯肉線維芽細胞を用いて検討中である。
|