病原性真菌Candida albicansの新規な細胞表層分子に焦点を当て、同菌による全身および口腔領域における感染の成立から病原性の発揮に至るまでの遺伝子発現制御を含めた機能解析を行い、その複雑なメカニズムの包括的理解を目指した。 欠失変異株を用いコード遺伝子の特徴付けを行った。親株と比較し、欠失変異株において菌糸形増殖能および二形成変換能の減弱が認められた。加えて、欠失変異株のバイオフィルム形成能および鉄の取り込み能が、親株のそれらと比較して低下していた。欠失変異株の鉄結合能は親株と同程度であるものの、ヒトヘモグロビンを鉄源として利用する能力に変化を及ぼすことが明らかになった。 機能確認のためURA3マーカーおよびRP10 integration vectorを用いて標的遺伝子のcomplementation株の作成を試みたが、困難を極めた。形質転換プロトコールの改良などを行い、complementation株の構築に至った。
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