研究課題
本研究では、甘味受容体コンポーネントT1r3の遺伝子プロモーターの調節の下、GFPを発現するマウス(T1r3-GFPマウス)、および甘味関連遺伝子ノックアウトマウス(T1R3-KO、TRPM5-KO、gustducin-KOマウス)を掛け合わせた遺伝子改変マウス(GFP-KOマウス)を材料として用い、T1r3発現味細胞の各種甘味物質に対する応答やグルマリン感受性、甘味感受性調節物質(レプチン、カンナビノイド)の効果、遺伝子欠損の効果を調べることで、T1R3発現味細胞を介した甘味受容、および感受性調節機構について追究し、味覚末梢における甘味情報の受容・調節機構を明らかにすることを目的とする。本年度は、次年度計画で使用するためのT1R3-GFP-KOマウス3種(T1R3-KO、TRPM5-KO、gustducin-KO)を作成した。これらはT1R3-GFPマウスと各KOマウスとの交配により作成、維持されている。3種のGFP-KOマウスにおけるT1R3、TRPM5、gustducinの味蕾での発現をRT-PCR法により調べた結果、KOされた遺伝子のみ発現が確認されなかった。またこれらマウスの味蕾では、一部の味細胞にGFPの発現が見られた。以上の結果は、作成された3種のGFP-KOマウスがT1R3発現細胞における各遺伝子欠損の効果を調べるための有用な材料となることを示す。また、本年度は内因性カンナビノイドが甘味を増大させる効果を持つことを明らかとした。T1R3発現細胞は様々な甘味物質に対し応答を示した。T1R3-GFP発現細胞、および野生型マウスにおける甘味応答細胞のうち約60%の細胞では、内因性カンナビノイドの投与により甘味物質に対する応答が増大した。その効果はCB_1受容体阻害剤であるAM251により抑制され、CB_2受容体阻害剤であるAM630では変化しなかった。これらの結果は、T1R3発現味細胞が様々な甘味物質に対して幅広い応答性を持ち、その感受性が味細胞に発現するCB_1受容体を介し内因性カンナビノイドにより増強されることを示す。
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