これまでに申請者は、ヒト扁平上皮癌細胞HSC-2においてIFNγによりCyclinA2(CcnA2)およびCdk2などが抑制され、細胞増殖抑制されることを示している。この時、Rb活性化状態であるリン酸化抑制状態になることを明らかにし、SV40LargeT抗原の発現によりRbを抑制するとIFNγ依存的なCcnA2およびCdk2の発現抑制が解除されることを示している。 そこで本年度はまず、IFNγによる細胞増殖掬制がIFNγの主要なシグナル分子であるSTAT1を介しているか否かを明らかにする目的で、siRNAを用いてSTAT1の発現を抑制した。すると、IFNγ感受性のHSC-2細胞に於いてIFNγ依存的な細胞増殖抑制が解除された。つまり、IFNγ刺激によりSTAT1下流でRbのリン酸化が抑制され、その結果、細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。更に、いくつかの細胞増殖抑制に関連する遺伝子の発現がIFNγにより上昇することを見出しており、今後、これら遺伝子がHSC-2細胞におけるIFNγ依存的な細胞増殖抑制と、IFNγ耐性を示すCa9-22細胞においてその耐性との関連を解析する予定である。
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