研究概要 |
拡散強調画像のシーケンスでは耳下腺内を走行する1~3mmの顔面神経の描出は困難であったため、数種のシークエンスでの描出を試みた結果、T1FFEとBalanced TFEシークエンスにて多断面再構成(multi planar reformation,MPR)画像を作成し、元画像とMPR画像を比較することによって顔面神経の描出が可能であることが判明した。 21年度は、正常ボランティア35例にT1FFEとBalanced TFEを応用し、顔面神経の本管・分岐部、またその枝の描出、走行のバリエーションを確認した。耳下腺疾患についてはpleomorphic adenoma4例、Warthin tumor 1例、myoepithelioma1例、mucoepidermoid carcinoma 1例にて検討を行った。耳下腺部顔面神経はT1FFEで低信号、Balanced TFEで低~中等度の信号、動静脈はT1FFEで低~高信号、Balanced TFEで高信号を呈したため、動静脈と神経との鑑別が可能であった。正常ボランティア35例による検討にて、分岐部近くのtemporofacial divisionの描出率は97%(34/35)、cervicofacial divisionの描出率は94%(33/35)であった。手術症例での検討の結果、MR画像による耳下腺内顔面神経の描出は手術所見とほぼ一致していた。 22年度は手術症例数を増やし、temporofacial divisionおよびcervicofacial divisionよりも末梢の神経の描出能向上をはかりたい。
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