4種類のヒト骨肉腫細胞株(OS)を用いhistone deacetylase inhibitor(HDACI)であるsodium valproate(VPA)がOSのNKG2D抵抗性に及ぼす影響を検索した。VPAはOSの細胞膜NKG2D ligand(MICA and B)の発現を有意に増加させ、その比率は対照群に比較して約2.5~5倍であった。さらにVPAはOSによる遊離型MICs(sMICA and B)の形成を有意に抑制した。またNK細胞株であるNK92によるOSに対するcytotoxicityを有意に増加させた。 以上の結果よりVPAはsMICsの形成を抑制し、NKG2D(NK細胞)に対する感受性を増加させ、OSの免疫細胞抵抗性を減弱させることがin vitroで示された。VPAはすでに抗てんかん薬として現在広く臨床応用されており、安全性・至適濃度はすでに確認されている。今回使用した濃度はその範囲内であることから、人体への影響が少なく、OSの治療に応用可能であることが示唆された。
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