研究概要 |
Modified Wear Simulatorはでは口腔内に近似した動き(tapping,sliding)を用いて、様々なpH環境下で、試験材科(コンポジットレジンなど)と対合試料(エナメル質、象牙質)両方の摩耗量を評価するこどが可能である。これを用い、エナメル質、象牙質、修復材料の摩耗に対するpHの影響、修復材料の選択による対合歯摩耗に対する影響を摩耗量の測定結果から明らかにすることが本研究の目的である。昨年度はフィラータイプの異なる市販コンポジットレジンの摩耗、並びにその違いによる歯牙の摩耗に対する影響、またそれぞれの材料でのpHによる摩耗量の違いを検討してきた。また走査電子顕微鏡観察により、摩耗後のフィラーの状態、歯牙表面の状態を検討し比較している。本年度は試作フィラー含有コンポジットレジンを作成し、その諸物性を試験し論文発表するに至った。 コンポジットレジンは機械的特性の向上の為に、従来からガラスやシリカなどのフィラー粒子を高密度に充填する手法がとられてきた。また、そのフィラーをシラン処理することで、マトリックスレジンとの接着を獲得し、その物性はさらに向上した。しかしながら、PMMAレジンに2%の無機酸化物とガラス粒子の混合物を添加したところ、明らかにその機械的特性が上昇した報告もあり、少量のフィラーを添加によってもレジンの物性は飛躍的に向上する可能性が示唆されている。少量のPMMAフィラーを添加することにより、コンポジットレジンの圧縮強さは劇的に上昇することが示された。これらの材料は、今後の生体活性修復材料の発展に貢献することが期待される。
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