本研究の目的は、歯科医療現場において潜在的な可能性をもつOCTについて、新たなう蝕診断法としての臨床導入の可能性を、保存学的な視点から調査することにある。歯の硬組織については、エナメル質及び象牙質の厚さやう蝕病変の検出が可能であり、歯髄の位置の確認についてもその有用性が期待されている。本診断法は、歯科領域全般にわたり、非侵襲でかつ極めて有用性の高い情報が得られる革新的技術であり、この実用化により、歯科医療技術の向上に大きく貢献し、患者にとっても大きな利益となる。本診断技術に関する研究は国際的にも限られており、歯科領域全般において迅速に取り組むべき課題である。今年度も昨年に引き続きOCTによる臨床データ収集を行ったが今年度は特に咬合面のう蝕に着目し、う蝕診断後にOCTを応用して臨床データを集積した。なお、OCT本体・プローブ・画像解析ソフトを含め、上記臨床データ集積には全て現有する測定器および付属ソフト(SS-OCT)を使用した。う蝕歯をエナメル質に限局したう蝕でエナメル質崩壊を伴わない表層化脱灰、エナメル歯に限局しエナメル質崩壊を伴うう蝕、象牙質までに及ぶう蝕に分類し視診及びSS-OCTによる診断を行い、その後歯牙を半切し、う蝕の進行度を共焦点レーザー顕微鏡で確認しこれを比較検討した。これらを引き続き検討および改良を加えることにより臨床における診断装置として有効に使用できるものになるであろうと思われる。
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