(I)MTAの表面性状が、どの様に細胞分化制御を行うのかを検討した。 (1)株化された細胞において、ディスク状にしたMTAを用い分化調べた。その結果、MTAの表面性状そのものは分化促進に働かなかった。この点については、現在、MTAの単独でなく、他の物質も含めて、細胞分化程度に及ぼす影響について、再検討を行っている。 (2)MTAを十分に水に浸漬したMTA上清のみを、細胞の培養液中に加えた結果、骨芽細胞の分化は促進された。この機構について、分子レベルで、現在詳細に解析を進めている。 (II)スタチンの細胞分化機構の解析。 (1)in vitroでの未分化間葉細胞の分化にスタチンが及ぼす影響について、詳細な解析を行った。その結果、分化制御経路は、PI3K~p-Aktに至るものであることが判った(Maeda T and Horiuchi N.J Biochem.2009)。 (2)スタチンは、(1)の未分化間葉細胞だけでなく、ある程度分化が進んだ細胞の分化も促進することが判った。この事は、スタチンによる刺激が、分化後期に重要であることを示す。 (III)MTAとスタチン併用による細胞分化制御の解析。 (1)(I)(2)で得られた結果は、スタチンによる細胞分化制御機構とは異なった表現を行う。そこで、(II)(2)の結果とともに、MTAでの分化を行った細胞に対して、さらにスタチンでの刺激を行うことで、その分化程度を、現在、検討している。
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