研究概要 |
申請者らは,培養細胞へ低出力レーザーを照射し,低出力レーザー照射による光化学効果を分子生物学的解析することを目的とした。その結果,申請者らは,低出力レーザー照射が細胞の種類によって異なる細胞増殖傾向を示す事が明らかとなった.つまり骨芽細胞は増殖傾向を示すが,腫瘍細胞では増殖が抑制される事が示された.さらに申請者らは,これまでの研究結果を基に分子生物学的な解析を行い,低出力レーザーの照射効果を詳細に解析した. (1)細胞増殖能の測定:マウス結腸癌由来腫瘍細胞(Colon26 Cell)およびラット大腿骨由来骨芽細胞様細胞の細胞増殖能は反応試薬を用いて,その吸光度より測定した.(2)細胞内発現遺伝子の解析実験:前述の細胞増殖能測定実験により得られた細胞のRNAを抽出し,RT-PCR操作により発現遺伝子の抽出を行った.得られた遺伝子は電気泳動装置により発現を確認し,低エネルギーレーザー照射による細胞内での機能変化を確認評価した.これらの研究成果を参考にして,申請者らは,播種したラット大腿骨由来骨芽細胞様細胞にHe-Neレーザーを照射し,細胞の増殖とアルカリフォスファターゼ活性を検討した.その結果,He-Neレーザーの照射された細胞は,培養7日目においてアルカリフォスファターゼ活性が有意に上昇することが判明した. 申請者らが行った以上のような研究により,低エネルギーレーザー照射は,一般に細胞増殖能を活性化させる一方で,特異的な細胞種に特定の波長のレーザー光を照射,あるいは同一波長でも照射されたエネルギー量によっては,その増殖能は抑制されるという逆の影響が発現することも明らかとなった.
|