研究課題
本研究は、抜髄後あるいは感染根管治療後の根管内血管新生、歯髄再生を目指して、幹細胞の根管内遊走を促進する蛋白質を検索し、その蛋白質を根管内に応用して、より早期に確実に歯髄再生に導く新しい歯内治療法を開発することを目的とする。歯髄を保存することで高齢化社会における歯の延命化によるQOL向上につながると考えられる。一方、他の組織の創傷部位においても、この遊走因子を局所に応用することにより、幹細胞を用いた全身の組織再生のための細胞治療法をより有効にできる。今回は幹細胞を歯牙内部に遊走させ再生させるために、まず、in vitroにおいて歯髄幹細胞の遊走因子を検索した。まず、イヌの歯髄組織よりフローサイトメーターを用いて、イヌの歯髄幹細胞であるCD105陽性細胞を分取し形質を維持したまま培養、増幅した。次に、この細胞よりtotal RNAを抽出し、microarrayにより歯髄total細胞と脂肪CD105陽性細胞と比較した。その結果、歯髄CD105陽性細胞は遊走因子であるG-CSFの発現が高くみられた。in vitroにおいてリコンビナントG-CSFの歯髄CD105陽性細胞に対する遊走促進効果を既知の遊走因子であるVEGFと比較したところ、歯髄CD105陽性細胞は有意に遊走していた。また、遊走効果はG-CSFの濃度依存性であった。これより、G-CSFは歯髄幹細胞を遊走させるのに有効であることが示された。今年度はin vivoにおいて、リコンビナントG-CSFの遊走作用を検索する予定である。
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