研究概要 |
欧米では下顎無歯顎患者に対する治療法の第一選択はインプラント2本を維持源としたインプラントオーバーデンチャー(IOD)であるとされているが、現在の術式には以下のような問題がある。手術後2-8週間はインプラントのオッセオインテグレーションを期待するため、インプラント周囲の義歯を削除した安定の悪い義歯を使用しなければならない。また、フラップを開ける(歯肉剥離を行う)ために外科的侵襲が大きく、インプラント埋入手術に熟練を要する。これらの問題を解決するため、サージカルガイドを利用したフラップレス(歯肉剥離を行わない)手術による即時荷重2ボールアタッチメント維持IODを考案した。 この術にではインプラント埋入手にサージカルガイドを利用することにより、術者の技量に左右される事なく、安定した結果を得ることが可能となる。また、フラップレス手術は歯肉を剥離しないために高齢患者への外科的侵襲が少なく、創面が形成されないため、即日から義歯の使用が可能となる。このことから患者が義歯の使用できない、もしくは義歯の安定の悪い期間は皆無となり、インプラント手術同日から、インプラントを維持源とした安定性の高い義歯による摂食が可能となる。 東京医科歯科大学歯学部附属病院に通院し、下顎全部床義歯の新製が必要な下顎無歯顎患者20名に対して下記の治療を行い、機能評価を行った。被験者20名の40本のインプラント中,2本のインプラントが脱落した.残りのインプラントについてはトラブル無く機能し,機能評価の結果良好で,現在に至る.
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