研究概要 |
本年度は,高齢者を対象とした調査を行い,分析のためのデータ採取を行った. 対象者を大阪府高齢者大学アクティブシニア講座383名(男性175名,女性208名,平均年齢67.6±4.8歳)とし,調査を行った.調査方法は,質問票を用いた調査,口腔内検査,唾液分泌量,最大咬合力,咀嚼能率について調査を行った. 質問票の内容は,年齢,性別,慢性疾患の有無ならびに服用薬剤,歯みがきの回数,歯科受診行動に関する質問,口腔の健康状態の自己評価,日本語版OHIP-14,ライフスタイルに関する質問などとした.また,口腔内検査では,残存歯数,義歯装着の有無について記録を行った.唾液分泌量については,まず5分間の安静時唾液を測定し,それより安静時唾液分泌速度(ml/min)を算出した.次にオリオン社製パラフィンペレット1gを2分間咀嚼してもらい,その間に分泌される全唾液を測定し,刺激時唾液分泌速度(ml/min)を算出した.最大咬合力については,ジーシー社製デンタルプレスケールを用い,咬頭嵌合位付近の最大咬合力(N)を測定した.咀嚼能率については,Ikebeらによって報告されている検査用グミゼリーを用いた咀嚼能率検査法を使用した.30回自由咀嚼後のグミゼリーから,既知の回帰直線を用いて咬断片表面積増加量(mm^2)を算出し,それぞれの被験者の咀嚼能率とした. ラィフスタイルを説明変数として,残存歯数,最大咬合力,安静時唾液分泌量,刺激時唾液分泌量,OHIP-14スコアを目的変数として分析した結果,ライフスタイルは最大咬合力に影響することが示唆されたが有意差は認められなかった.
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