インプラント周囲炎については、発症メカニズムについて、いろいろ研究がなされており、インプラント周囲粘膜は天然歯周囲に比較して、血管が少ない、コラーゲン線維の構成比が違うなどの防御機構の違いから、天然歯における歯周炎よりもよりも進行しやすい、ということがわかっており、そのため、早期に診断、治療することが重要である。最近では、骨粗鬆症における骨吸収マーカーとして、γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ:GGT)が注目されている。そこで本研究では、歯肉溝滲出液、インプラント周囲溝滲出液中のバイオマーカー(特にγ-GTP)に注目することにより、歯周疾患、インプラント周囲炎の早期診断を行うことを目的としている。 平成21年度においては、まず、歯周病患者の歯肉溝滲出液中のバイオマーカー(γ-GTP、プロスタグランジンE2、IL-1)のタンパク量をELISA法により、検討を行った。その結果、健常者の歯肉溝浸出液と比較して、γ-GTP、PGE2、IL-1ともに有意にタンパク量が増加していた。このことにより、γ-GTP、PGE2、IL-1ともに歯周炎のバイオマーカーとなりうることが明らかとなった。 平成22年度は、インプラント周囲炎患者(X線写真所見により、歯槽骨の吸収が認められるもの、インプラント周囲歯肉溝のプロービングデプスが4mm以上存在するもの)において同様に、γ-GTP、PGE2、IL-1がインプラント周囲炎のバイオマーカーとなりうるかどうかELISA法により検討していく予定である。
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