研究概要 |
本研究の目的は,ストレスと咀嚼筋筋活動の これまでの2年間に得られたデータとして (1)クレンチング習癖は心理的背景(高度の不安傾向)と関連があるをことが明らかとなった. (2)携帯型筋電計を用いて日中のクレンチング発生状況を調べ,患者の自覚の信頼性について検討した.本研究の主旨に同意が得られた岩手医科大学歯学部学生,並びに職員37名(女性14名,男性23名,平均年齢27.4歳)を被験者とした.日常生活環境下で生じるクレンチングを筋電図学的に判定するため,当講座開発の携帯型筋電計を用いて食事を含む5時間の側頭筋部筋電図記録を行った.クレンチングの情報を十分に持っている歯科関連職種でも,仕事中は集中しているためクレンチングに気付きにくいことか考えられ,正確な状況の把握には,携帯型筋電計等による客観的な評価が不可欠であることが示された.患者自身によるクレンチング習癖の自覚は信頼性が低く,調査には筋電計等による客観的な記録計測による分析が必要であることが結果として得られた. 一方,(3)咀囑筋の弛緩プログラム作成については,東日本大震災の影響を受け,データ記録,収集に相当する時期にデータ収集が行えなかった.被験者の一部が被害の大きかった沿岸在住であったこと,最終済みのデータが突然の停電で一部破損し進捗に大きく遅れが生じた. 上記の(1),(2)については論文として報告済みであり,本データが研究のベースとなっている. (3)については被災した被験者にお連絡が取れており,引き続き研究を行うことに同意が得られていることから,再度データを収集し,研究を再開,継続する予定である.
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