研究概要 |
ガラスファイバー強化型コンポジットレジン(Glass Fiber Reinforced resin Composite,以下GFRC)に着目し,GFRCのクラスプの臨床応用について検討している.GFRCをクラスプとして口腔内で使用するためには,水中にて疲労試験を行う必要があった.そこで本研究では,真直型GFRCクラスプの定変位疲労試験を37℃の水中にて行い,その疲労耐久性を評価した.GFRCとして,エステニアC&B,EGファイバーセット(クラレ)のEGファイバー前歯部用(以下EG)を用いた.クラスプフォーマーヘEGを填入し,メーカー指示に従って光重合,加熱重合を行った.重合後試料表面を研磨し,レジンホルダー部に試料を固定した.同一条件試料数は5個とした.定変位疲労試験はステンレス製タンクを設置した万能試験機(EZGraph,島津製作所)を用いて行った.X-Yステージ上のバイスに固定したクラスプをステンレス製タンクに取り付け,37℃の水中において,0.25mmの繰り返し変位をクラスプ鉤尖部内面に対して垂直に負荷(0.1mm/min)した.負荷回数は1日5回義歯を着脱すると仮定し,1ヶ月間の使用に相当する300サイクルとした.またクラスプを0.25mm変位させるのに必要な荷重を計測した。試験終了後,クラスプ試料表面を光学顕微鏡(VHX-100,キーエンス)にて観察した.またレジンホルダー基部から,クラスプ鉤尖部までの距離を計測し,これを永久変形量とした.試験の結果,1ヶ月間の使用を想定した37℃の水中での定変位疲労試験から,荷重は12.3%(SD:3.80)減少し,永久変形量は2.34%となったものの,試料表面には亀裂やガラスファイバーの剥離等は観察されなかった.よって,GFRCクラスプは臨床応用可能であることが示唆された.
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