本研究の目的は、仮骨延長法を歯根に応用することと、組織再生の促進が期待できる低出力超音波パルス照射(LIPUS)を併用することでセメント質をはじめとする歯周組織の再生を促進させる効果を評価することである。 本年度の研究では(1)歯根延長法に用いる延長デバイスを開発した。まず既製のチタン製ミニプレートを改良して延長用スクリューと組み合わせて開発したが、実験中にデバイスの破損が認められ、初期デバイスの強度不足が疑われた。そのため装置を改良して強度を向上させたデバイスで実験中であるが、改良後は破損しなくなり順調である。(2)動物実験ではビーグル犬の下顎前臼歯を対象に歯根延長法を行っているが、デバイス破損があったため計画より遅れている。また手術の際には歯根と骨の切断面を揃えてデバイスを設置する計画であったが、実際の手技には困難な点があり手術手技の改善を検討しながら実験している。歯根延長については7日間の待機期間を設定し、0.5mm/dayの速度で10日間の延長を行っている。予備実験として延長後4週間、8週間で単純X線および病理組織学的検索を行う予定である。(3)低出力超音波パルス照射の予備実験については(1)の予備実験で装置破損があったため実施できていないが、装置の安定が確認されたので、照射群を設定して初期条件として周波数3.0MHz、パルス幅2ms、パルス周期10ms、出力40mW/cm2を15分間照射する予定で計画中である。
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